昔から、所属委員会でのフリーペーパーの編集やポスター、チラシの作成や修正を行ってきました。その中で、「見やすい資料作成」や「相手に見てもらえる」「相手に伝えたいことが伝わる」ためにどうすればよいか、そんな工夫について試行錯誤を重ね、さまざまな本を読んだりと勉強を重ねてきました。
今日は、その中でも、広報物を作る時の心がまえについて書きたいと思います。
広報物や資料を作るときに大事な気持ちとは?
単にデザインが良く、見栄えがよく目を引くポスターやチラシではいけない。大事なのは、その内容を相手に伝えたいという思い、相手に伝わるためにはどう表現すればよいか、ということです。広報物を作る時に意識しなくてはならないのは、読み手に情報を伝えるということ。
資料において図やイラストを用いて分かりやすく説明するのも、記号やアイコンなどを用いて少しアクセントをつけるのも、フォントや色を変えたりするのも、余分な線やイラストを取り払うのも、あえて色を薄くするのも、ストレスをなくし読み手に情報を見やすくするための工夫です。
私の場合、広報物や資料を用いて、自分が知っているプラスになるイベントや知識を、素晴らしいから伝えたい。それが伝える原動力でした。
その気持ちが根底にあります。どんなにすばらしいデザインでも、魅力的なキャッチコピーも、それなしには形骸化してしまいます。広告を出す上で、その気持ちを忘れてはならない、その思いは持ってきました。
見やすい、相手に伝わるための工夫とは?
ここでは、相手に少しでも自分の資料を見てもらおうと思い、伝わる内容とするための工夫についていくつか紹介します。
フォントを変える
フォントを変えることで、資料に変化が出ます。
タイトル、本文、小見出し…。それぞれにふさわしいフォントがあります。
一般的には、「パワーポイント・タイトル・小見出し」→ゴシック
本文→明朝
が無難です。文字の大きさよりも変化がつけやすいことからおすすめです。使い方に合わせて活用しましょう。
配色
色はそのページの印象やイメージを左右します。また色の組み合わせが合っていなかったり、ページのイメージからずれていると違和感を覚えますし、洗練された印象を与えられず、どこか抜けた感じに仕上がります。あまり色数が多いのも問題で、基本的に3色程度が良いでしょう。
内容が濃いものになっている
どんなに見栄えがよく、配色を工夫して洗練された印象を与える資料で読み手を引きつけても、いざ読み始めて内容が薄ければ意味がありません。
作成者が本当に伝えたいのは「内容」であり、資料のデザインは目を引き、読み手に読んでもらおうという入り口でしかありません。
- 見栄えがよいデザイン、タイトルでまずは目を引く
- ポスターの場合はアイキャッチを入れる
- 内容を読み始めてもらう→キャッチーなタイトルやリード文で、興味のある読み手に読み進めてもらう
この工夫が必要です。見た目・内容 これらは相互がしっかりしたものになって、はじめて意味をなします。
読み手の目線に立つこと・読んでほしい対象を意識して書くこと
読み手は小学生?
アパレル系の人?
一流企業のビジネスマン?
すべての人に対象を広げるのは逆効果なことが多いです。対象によって、用いる例も、口調も、語り口も異なってきます。女性向けの内容なら、資料のテイストや語り口もやわらかいものにするのがよいとされます。
その対象が陥りがちな悩み、事例などを組み込んであげると、対象は内容にひきこまれていきます。読み手を想像しづらいなら、イメージで仮想のキャラクターを作り、プロフィールを作成してみましょう。あなたの記事や、資料、ページなどの読者のモデルです。これを明確に定めて、ターゲットのニーズに合わせた表現や言い回し、語りかけ、事例を、その人に向け、伝わるように、そしてその人の心に響くように書く。あるいは図やイラスト、まんが、映像で表現する…。
伝え方はなんでもいい。でもその対象を明確に思い描き、その人のプラスになる、その人に一番響き伝わる表現を考えて。伝え方を試行錯誤することは、知的な楽しさももたらしてくれます。
自分が読み手ならどんな伝え方をされたら分かりやすいか、しっかり当事者目線で考えて体現していきましょう。
資料のテイストを決める
またその資料により、どんな印象を抱かせたいですか?洗練された印象?堅苦しい感じ?やわらかい印象?ポップな印象?おしゃれな印象?フォーマルなビジネス資料?
これらにより、使用すべき口調やイラストは異なります。
その人の心に刺さる、読んでみたいと思う、目をとめるタイトル(キャッチコピー)を考えよう
冊子やインターネットの記事などでは、リード文、導入では、そのページの目的や、何が書かれているか、そのページを読むことでどんなメリットがあるかを読者に明示します。これにより、読者が読み進めよう、このコンテンツは自分のために作られたものだ、という意識で読み進めることができます。
興味を持たせましょう。
階層化を意識すること
あまり聞き慣れないかも知れません。ですが、ピラミッド、樹形図を思い浮かべて下さい。
雑誌においても大見出し、小見出しがあります。
同じ階層の見出し(大見出し同士、小見出し同士など)の階層は本当に同じですか?
たとえば、
大見出し1 図書館司書へのインタビュー内容
小見出し1 インタビュー内容1 仕事内容
小見出し2 仕事で大変なこと
小見出し3 やりがい
大見出し2 図書館司書になるために大変だったこと
大見出し3 予備校講師へのインタビュー
などといった形ならどうでしょう?
大見出し2は、同じ階層ではありません。大見出し1や大見出し3が「●●についてのインタビュー」といている以上、大見出し2の内容は、大見出し1の中に小見出しとして組み込むべきものです。
こうして、大見出しはインタビュー内容、小見出しはそのインタビュー内容の細かい項目分けとして、機能をなします。
きれいに階層化、構造化されています。当たり前のようにも思えますが、インターネットの記事や雑誌の記事、ポスターの大見出し、小見出しなどをみていると、たまにきれいに構造化されていない、もしくは階層同士が等しくない事例が散見されます。
また、同じ階層同士は、同じような見栄えのするようにしましょう。
資料においては、視覚的に、どれが大見出しか、どれが小見出しかを明示する必要があります。
デザインは階層化を分かりやすくするためのコツでもあります。
文章の流れは大丈夫?
文章の流れを意識しましょう。同じカテゴリーは固める、結論を書いてから例を挙げ、具体的に説明する、大きな点を先に述べてから細かい点に言及する、といった点に気をつけて、また文章と文章のつながりが不自然にならないように、省略しすぎないように、でも助長になりすぎないように、のせるべき情報を、最適な量でのせていく。これが大切です。
目を引く方法
冊子やポスターでの見出し前には、アイコンを入れましょう。そうすることで、ぐっと目を引く資料になります。
導入文に会話調でキャラクターを入れてふきだしをつけるやりかたや、タイトルのロゴ化、独創的なフレームを用いることも重要です。
一貫性があることは重要
冊子においては特にそうですが、調和、全体での統一感、一貫性は大事です。
1ページ1ページが単体の作品ではなく、全体の一部であることを忘れないで下さい。ですから、あるページは明朝体ずくし、あるページはゴシック体ずくし、ということが起こると、統一感がなくなります。
もちろん意図して、1ページや2ページだけ意図的に変化をつけることも良いのですが、毎ページのようにフォントが変わり、毎ページのように激しくページのイメージが変わることは考えもの。
あくまで全体の中での1ページです。
あるページが激しく目立ち、あるページはこじんまりしている。意図しているならよいですが、全体像として、この資料や広報物の印象やテイスト、にかかわってくるものです。しっかり確認しましょう。