大学生はバイトを経験することが必要?
この記事では、それほど大学生活でバイトをしてこなかった方の視点から、体験談として、バイトをすべきであった、という意見を寄稿していただきました。経験としてバイトをしてみたいと言う方は、参考にしてください。
大学生はアルバイトの経験をした方が良い?
私は初めてアルバイトを経験したのは大学四年生のときでした。私の親は私が大学生になったときに「大学生は大きく学ぶ学生と書いて大学生。
アルバイトにうつつをぬかして、単位を落として留年するようなことになればその方がよっぽど出費は多くなる。
お小遣いは必要なだけあげるから、その代わり絶対に単位を落とさないように」と言いました。
私はその方針に従い、大学三年生までは一切のアルバイトをせず、学校の勉強にいそしんできました。三流大学だったので、私の学校での成績は毎年10番以内(約600人中)で、成績優秀者ということで学費を丸ごと免除してもらった年度までありました。
学校ででは「頭が良い子」として、周りから見られており、教授たちからもかわいがられていました。しかし、大学三年生になり、就職活動が始まり、私には何もアピールすることがないということに気づきました。
アルバイトをしていた友達たちは大人に混ざって仕事をすることで得たものがあり、それぞれにアピールすることや履歴書に書きたいことがあるようでした。私はもちろん自己PR欄に学内での成績のことについても書きました。
また在学中に、英検、漢検、フランス語検定、秘書検定とたくさん資格も取得していましたので、そのことも履歴書に書きました。
資格も資格を取ること自体が趣味となっていて、「◯◯になりたいからこの資格がほしい」というような主体性もなく、ただ自分でも取りやすそうなものを次から次へと取っていたという状態でした。
私の資格や学内の成績のことは面接で軽く話題にあがることはありましたが、いつもなんだか少し小馬鹿にされているような感じでした。
実際、面接も一次面接で落とされることばかりでした。一方、大学時代、アルバイトばかりをして、ろくに授業も出ず、テスト勉強もしないのでいつもスレスレの単位で進級していたような友達たちは次々と内定をもらっていきました。
学校の1時間めの授業は起きれないからと言っていつもサボっていたような子が社会人になって毎日決まった時間に会社に行くことなんてできるのだろうかと思っていたけれど、大人になった今、その子たちは立派に社会人としての努めを果たしています。
一方、私と同じようにアルバイトはせず、学内成績が10番以内の友達も何人かいました。その子たちは私と同じように就活中はなかなか内定が決まりませんでした。
そういう子たちは学校での成績が良く、ちやほやされてきたというプライドもあり、死に物狂いで就活に取り組むこともできず、そのままフリーターになったり大学院に進学したのちフリーターになったり、結婚したりという末路を辿っています。
私も例外に漏れずその中の一人なのですが、私は結局5月になっても内定がもらえず、教育実習を迎えました。さほど教師になりたいわけではなかったのですが、教職課程をとっていたのです。
内定も取れず自信をなくしていた私ですが、教育実習先では「先生先生」とちやほやされ、良い気になり、そのまま就職活動はやめました。私自身もプライドが高い人間だったため周囲には「私は教員を目指す」と宣言し、大学院に進学しました。
そこで、塾講師のアルバイトに初めて挑戦することになりました。大学四年生で迎える初めてのアルバイトというのはとてもハンデがあり、年をとっているのに大学二年生くらいの子よりも何もできず、怒られてばかりでした。
しかし、電話応対の仕方や保護者への対応など学校では学べなかったことをたくさん学び、学校での学習よりもずっと有意義で充実していました。
それでも続けていくうちに塾講師のアルバイトには少しずつ慣れていき、なんとかみんなと同じように仕事ができるようになりました。それから私は塾講師のアルバイトを点々と何度か転職しながら続けています。
学校の先生になるという目標はもともとなく能力も足りていなかったので挑戦していません。塾講師のアルバイトも年齢的にしんどくなってきましたし(大学生が多いので)、結婚している今となっては夜間の仕事である塾講師はあまり都合が良くないのですが、塾講師しか経験していないので、他のアルバイトに挑戦してみる勇気がありません。
現在は36才です。大学生時代にアルバイトをしておかないと、就職どころかアルバイトすらおっくうになってしまうかもしれません。
アルバイトをしなくても、多くの経験を積み、語れる何かがあったり、家庭や学校での教育がしっかりしている方は、このようなことにはならないとは思います。
しかし、新人で何もできなくて失敗ばかりしても大丈夫なのは大学生のうちだけです。
大学生のうちに接客業やレジなどたくさんの種類のアルバイトに触れることは学校の勉強などよりもずっと人を成長させ、大人にするものだと思いました。
年をとると採用されにくい上に経験者でなかったらなおさら門が狭くなりますし、また自分自身もなかなか挑戦してみる勇気がありません。大学生のときにアルバイトを経験していたとしたら、確実に今とは違う自分になれていたと思うので、その点に関しては非常に後悔しています。